「・・・むぅ。」



鏡はみたくない。

あまりにも自分が子供っぽすぎて、泣けてくるから。



トルサイズ・ストロベリー




中佐。20歳。国家錬金術師。
東部司令部所属。


「おはようございます!ハボックしょーい!」

は元気よく職場のドアを開ける。
するとそこには徹夜明けらしく、目の下にクマをつくったジャン・ハボックがいた。

「ハヨ・・・っと、髪まとめたのか?」

「うん。中尉のマネしてみちゃった!どう?」

「ん。可愛いんじゃん?」


(・・・違うのに!)

言って欲しい言葉はそんなんじゃない。

「あ、ありがとー。昨日は休んじゃってごめんね。徹夜お疲れ様。大佐は?」

「大佐・・・・さぁな?多分司令室じゃねーか」

「ありがとー。ちょっと行ってくる」

ぱたぱたとは仮眠室へ向かった。


「・・・しっろい、うなじ。」

ジャンはそんなことを呟いて、こりゃあ大佐が大変だ、と笑った。




大好きな(ここらへん大佐に聞かせると図に乗るので内緒だが)大佐をさがすため、仮眠室に足を伸ばす。


中佐可愛いよなぁ・・・」


ドアの向こうから聞こえてきたのはそんな声。
どきっとして、は耳を澄ます。
どうやら女性のタイプについての話らしい。

「お前犯罪者になるなよ〜」

「なんねぇって!っつーかあれで20だろ?問題ナイって。
 大佐はどう思います?」

「うむ。私はもう少し色気のあるほうが・・・」

の顔から、血の気がひく。


『犯罪者』『あれで20』『もう少し色気のあるほうが』。


どれも彼女にはタブーの一言。

は踵を返して今来た道を舞い戻る。


どんっ


「きゃっ!」

「大丈夫ですか?中佐」

「ちゅっ中尉!」

「あら、今日は髪をまとめていらっしゃるんですね。
 私とおそろい。」

リザがにこっと微笑む。

「うん!おそろい・・・でも。でも。なんか違う気がするの。」

「?」

「なんかね。根本的に違うみたいなの。」

「根本的に・・・?」

「うん。私がココにいたこと大佐たちには内緒、ね」

「・・・?ハイ」









「強姦・・・事件ですか・・?」

「ああ。今月だけで4件もだ・・っ!!畜生!この世の女性は私のものなのに・・・・っ!!!」

「・・大佐。悲しむところが違います」

「そんな事があっちゃいけない!!
 ・・・なんでもっと早く教えてくれなかったんですか・・・」

が言う。

「ああ、そんなことをしたら君達は勝手に調査をはじめてしまうだろう。」

「「しませんって!」」

「充分注意してくれたまえ。
 まあ。この事件の犯人は『大人』の女性を狙うと言うことだ。
 中佐。君は安心していい。
 中尉、君は充分注意したまえ」

「うわぁ。珍しく大佐が大佐らしいこといってる。」

「なんだね。中佐」

「いえっ・・・なんでもないです・・・失礼します〜」

が司令室を後にしたあとで、ロイがこそっとリザに声をかける。

「今日のは、やけに色気があるな・・・あのうなじはソソる・・・」

「大佐・・・・・」





中佐。君は安心していい。』




「嬉しくないってば・・・そんなに子供っぽいかなぁ・・・」

帰り道、は、例の犯人が出たという夜道を通って帰る。
一緒に帰っているリザは、やはりカッコイイ大人の女性で、まるでキャリア・ウーマンのようだ。
といえば、黒っぽい服装で大人っぽい、といえばそうらしいが、
肩だしのトップスに、ジーンズのマイクロミニ。


「さむい。」

「そりゃあ、ミニスカートじゃ寒いでしょ。じゃあ、私はあっちだから」

「うん。また明日ね。リザ」


ブランド物の黒いハンドバックをもって、は静かに通りを歩いた。


(・・・誰か付けてる)

思わず鳥肌が起つ。
寒いからではない。



(・・やだ。怖い・・・怖い・・)

震えが来そうだ。




ダンッ


「きゃああああぁっっ!!!」

壁に押し付けられ、スカートの中に男のガサついた手が潜り込んでくる。

「っ・・・このっ」


パチンッ!!

瞬間、男が火達磨になる。
もちろんには燃え移らないように酸素を調節して。



――大佐・・・がきてくれた。



「中佐!!大丈夫かっ!」

はズルズルとへたり込む。

「お・・・手柄です・・・ね。わた・・・し・・・。」

無理矢理顔を引き攣らせて笑って、ピースをしてみせた。

「・・・すまない・・・っ!中」「そっんなことはっ、別にいいです・・・」」

ロイの声を遮るようにして、が叫んだ。

「それより。シャワーがあびたいです・・・この感触を、洗い流してしまいたい」

「・・司令室に戻ろう・・・中佐」

はロイの車に乗り込むと、そのまま司令室へと戻っていく。



彼女は充分に『女性』だった。

白いうなじが、後れ毛が、細い足が、足首が。

男を欲情させる要因は充分に備えているのに。





「大丈夫か?中佐」

「大丈夫ですよ。大佐
 大佐が守ってくれたじゃないですか」

どうやら熱いシャワーを浴びて、落ち着いてきたらしいが、笑う。

「・・・本当にすまない。君を守れなかった」

「私、ヤられてませんよ。大佐〜」

「触られたじゃないか!それとも嫌じゃなかったのかね!」

「・・・・嫌でしたよ。気持ち悪かった!怖かった!!」

その声が涙に滲む。

「でも・・・でも大佐が守ってくれたから
 嬉しかったです。ありがとうございました」

「・・・・」

にこっとが微笑むと、ロイは奇をてらったような顔をする。

「犯人が捕まえられてよかったです。もうこれ以上被害者増やしたくないし・・・・・
 ところで、なんで私のほうにいたんですか?
 今日は確か、受付のジェシカ嬢とお食事のはずじゃ・・・?」

はきょとんと首をかしげる。
自然となった、上目遣いに大佐は思わず、言葉が狂う。

「そ・・・それは・・・だな・・・」

「あなたが心配だったのよ。

「・・・中尉・・ああっ!ごめん!折角帰ったのに、また呼び戻させちゃって・・・」

「今は、仕事中とはまた別だから。が心配で来たんだもの」

コトン、との前のテ−ブルに暖かいココアを置く。

「リザ・・・心配ってどうゆうこと?」

「それは大佐の顔が物語っているわ」

がロイのほうをみると、ロイは顔を赤くしている。

「・・・どうかしましたか・・・?大佐?」

ロイの手が、の頬に触れる。

「君が好きなのだよ。

驚いたようにが目を見開く。

そして、拗ねたように頬をふくらませた。
の幼さが強調される。



「騙されませんよーっだ!」


「え?」


「大佐の悪い冗談はもう慣れましたよ。
 いつまでもからかわれるだけの私じゃありませんよっ」


ふふふ、とは笑った。

「ちょ・・、待・・・」

「それに色気があるほうがいいんでしょ?」

「なっ!それはっ!!・・」

あれは、まさか部下にこの気持ちを悟られまいとついた嘘。

「それじゃあ、明日朝からの勤務なんで、仮眠室で寝てきますね!」

そういっては、何事もなかったかのように軽い足取りでさっていった。



「・・・・・・」


「フられましたね。大佐」

取り残された大佐と中尉。




「そういえば、私のことがすきっていうのが冗談だったにしても、
 なんで私の後、追いかけてきてくれたんだろ?」


仮眠室で横になりつつ、はふと、そんなことを思った。










▼あとがき。
変なテンションですね。
自分でも途中から何を書いているのか・・・・(汗)





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