「そんなことって・・・・」


は小さく呟いた。


「そんなことってないわ。」


がほとんど泣きそうな顔で車に揺られていると、ロイが静かに肩を抱き、
うずくまるの顔を覗き込んだ。


「しっかりしてください、将軍殿。
 我々は今、軍人です。」

「じゃあなんで?」

ゆるりとが顔をあげる。




「じゃあなんでマスタング大佐までそんなに苦しそうな顔をしているのです?」





外はザァと音を立てて雨粒を振り落としていた。







LEADY STEADY GO →22『雨が降った日』








「しっかりなさい。エド。こんなことで感けてはいられないわ」


ピチャッ


石段にたまる水の上を軍のブーツを身に付けた足が下りていく。
いつも頼りないの声が、雨音にかき消されず、凛とエドワードの耳に届いた。
ああ、コイツは、腐っても軍の少将という地位に立つ女なんだな。
エドワードの心の、どこか落ち着き払った部分がそう言っていた。


ピチャ


「『こんなこと』・・・・・・かよ」


ピチャ


ぎゅっとエドワードは自分のコートを握った。


「ああそうだ
 狗だ悪魔だとののしられても、アルと2人元の身体に戻ってやるさ
 だけどな、オレたちは悪魔でも、ましてや神でもない」

ピチャッ

人間なんだよ
 たった1人の女の子さえ助けてやれない




ピチャッ



「ちっぽけな人間だ・・・・・・・・!!」





は何も言わない。
の一歩後ろにいたロイが、少しだけ振り返った。


「・・・・・・・カゼをひく
 帰って休みなさい」












「何も、あそこまでいわなくてもよかったのではないか?


「マスタング大佐。あなたは今、軍服。私も今は軍服です。
 3年前に言ったことを、忘れたの?」


「私もいったはずだ。
 君が泣くときは私は君を決して上司とは思わないと」

頭からタオルをかぶったの表情を捕らえることはできない。


「涙なんかじゃないわ。髪の水滴が、垂れているだけ」



ポツリと垂れたその雫は、たしかにほのかな温度を持っていた。








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