「今回の件でひとつ貸しができたね。大佐」



少年は悪戯に笑った。




LEADY STEADY GO →19『生体練成。』




「・・・君に借りをつくるのは気色が悪い」

ロイは少々顔を引き攣らせながら言った。

「まぁ、も世話になったようだし、
 ・・・いいだろう、何が望みだね?」

「さっすが♪
 話が早いね」

エドはニカッと笑む。
ロイがそう答えるのをまるで知っていたかのようだ。


「この近辺で生体練成に詳しい図書館か錬金術師を紹介してくれないかな」

エドワードがそう言うと、はビクリと身体を反応させ、ロイは少し意外そうな目でを見た。

「今すぐかい?せっかちだな。まったく」

「オレたちは1日も早く元に戻りたいの!」

「久しぶりに会ったんだからお茶の一杯くらいゆっくり付き合いたまえよ。
 なぁ

「や、私にふられてもね。」

「む。私はとお茶がしたいぞ。」

「はいはい。ここら辺の生体練成の権威っていったら、左から9番目のファイルにいるでしょう。
 彼が」

「ああ、これだ
 『遺伝的に異なる二種以上の生物を代価とする人為的合成』
 つまり合成獣練成の研究者にが市内に住んでいる」

が目を淡く伏せて、呟く。

「『綴命の錬金術師』、ショウ・タッカー
 人語を使う合成獣の練成で国家錬金術師になったのはたしか2年前だよね」

「人語を使うって・・・・人の言葉を喋るの?
 合成獣が?」

エドワードが驚いた顔をしてを見る。

は確か、彼の担当者の1人だったな」

「・・・・そ、皮肉よね」

「ちょっとまてよ。が担当ってどうゆう・・・」
「『死にたい』」


エドワードの質問を遮るようにが言う。

「人の言ったことを理解して、ただ一言そう言ったの
 『死にたい』って」

溜め息が重い。
その場にいた全員の表情の、少し曇る。

「エサも食べずに死んでいったわ。
 タッカー自身はとても温厚そうな人柄だけど・・・」

「まあ、とにかくどんな人物か会ってみる事だね」

「だな、も来てくれるんだろ?」

エドワードは期待を込めてを見る。
なるほど、担当者がいたほうが話はスムーズだろう。


「ごめん、エド。私、あんまり生体練成には関わりたくないのよね」

コツコツとの踵が鳴る。

「ほんと、ゴメン」

少し振り返って言うとはその部屋を後にした。

エドワードとアルフォンスはわけもわからずたちつくし、
ロイはすこし眉を寄せてその後姿を見送った。







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