「や、鋼の」


エドワード・エルリックは、弟が丁寧に挨拶をしているのを知ってか知らずか、


(それはもう、顔が戻らなくなるといいたくなるくらい)思いっきり、顔をしかめた。








LEADY STEADY GO →16『焔の。』








「ところで鋼の、はどうした」


「・・・・なんで大佐がをしってるんだよ」

エドが不服そうに顔をしかめた。
ロイはふっと、愉快そうに顔をゆがめる。


「何故って、彼女は私の・・・・」
「置いてくなって言ったのに!アルとエドの馬鹿!!」


ロイがセリフを言い終える前に、の少し怒ったような声が響いた。


「悪ぃって、だってスゲェ気持ちよさそうに寝てるから起こしづらくってさ」

「もー!車掌さんに起こされちゃったわよ!」

はロイの存在を一切スルーして、エドに突っかかる。
自分より少々背の低いが上目遣いに怒ってくるが、迫力のカケラもない。

「・・・・?」

ロイがに問い掛ける。
するとの表情が、ほにゃっと解けて、満面の笑みになった。

「久しぶり!」

「久しぶりだな。

ロイはを抱きしめようと両手を大きく広げた。


が、


すっ


「ホークアイ中尉ぃ〜っVv」


「あら、久しぶりね」




またもその横をスルーし、アルフォンスと挨拶をしていた中尉の下に駆け寄った。


「な、何故だ!?何故なんだ!?!?」


ロイが途方にくれていると、ホークアイ中尉に抱きつき、顔だけロイにむけると言った。



「だって大佐、ほのかに女の子の移り香がするし」


ピシィッ



「・・・き、気のせいだ」

「しかも香水だけじゃなくって、ファンデーションとか口紅の匂いも混じってる気がする
 まるで女の人が大佐の近くで化粧したみたい。」


・・・・するどい。

ロイは「うっ」と言葉に詰まる。

「しかも全部同じブランドの化粧品じゃないの。
 そのブランドは空気の抵抗の仕方が特徴的なのよね。
 この匂いは・・・私が旅してる間に変わってなければ3番街の東から2件目の化粧品屋サン。
 あそこは値段も若干高めでターゲットは20代前半から30代で、
 貴方が年上好きではないことと今までの女経験からして、女性は23歳前後。
 貴方の好みのタイプからして、髪はウェーブでロング。
 多分口紅の色は甘めのピンク。
 愛用の香水はベルガモットベースの割と上品なかんじ。
 ・・・・・違う?」

「・・・・・その通りです。」

なんだろうか。
この浮気を追及している妻と、妻にずばりと愛人女性の特徴を言い当てられた旦那のような会話は。

「私、節操なしは、嫌い。」

「すっすまない!!!」



びたっ!



「・・・・土下座だ」

ハボックが呟く。
ざわざわと、まわりも口々に言った。

土下座だよ」

「大佐が土下座した・・・っ」


周りも困惑の色を隠せない。
たかだか15,6の小娘に、東方司令部の大佐ともなろう人間が土下座をしている。

「・・・・わかった。許すよ。久しぶり、ロイ?」

ロイはほっとしたような表情で立ち上がる。
そしてをぎゅっと抱きしめた。

「久しぶりだー・・・ー、ー・・あー、生だ・・・」

「苦しいってば。」

「・・・しかし、髪が短くなってないか?」

「え?」

その言葉に反応したのはエドワードだ。

「その長さで短いって言うのか?」

「ああ。」

「でも俺らに会ったときからそれくらいだったよな。アル」

「うん」

の髪の毛はエドワード達が出会った時から長さは変わってない。
長さは肩より少し長いくらいで、特に短いともいえないだろう。

「・・・ロイはほんとによく私のこと知ってるね?」

「もちろんだとも。だいたい前は腰まであっただろう。流石に気づくさ。
 しかしなんだ、このセンスのない切り方は。
 どこのサロンだ?」

少し怒ったように言う。
毛先の揃わない紙を一房手にとる。



「自分で切った。
 ナイフでね、こう、ザバっと」





一瞬、ロイの顔が、ピキッと固まった。

「せっ!
 せっかく今まで大事に!大事に!!大事に!!!大事に!!!!
 伸ばしてた物を!もったいない!
 しかも服装もなんだね!そのボロボロの服は!」

「だって色々動き回ったしー」

「私が今まで、何のためにあの格好をさせてきたのか・・・」

「わかってるけどー。
 だってあの格好、動きにくいじゃん。
 というか、ロイの趣味じゃん。」

あの格好?

疑問をもったのはエドワードだ。


「気にしない気にしない」
「うわぁ!!」

「貴様・・・ぐあっ!!」

が言い終えるのを見計らったかのように、憲兵の叫び声がする。

「・・・何?」

たちが振り返ると、そこには、隠しナイフで縄を断ち切り、こちらに向かうバルドの姿。

「うわ」
「・・・隠しナイフ?」

ちゃっちぃ〜とは呟く。
シャラ、とブレスレットが揺れた。
ホークアイも銃を構えた。
「大佐、、お下がりくだ・・・」

「これでいい」

バルドが雄たけびをあげてこちらへ向かっていく。

がザッとチャームに手をかざすのを、ロイは片手で制した。


ぐっ


パキン


高らかに、ロイの指が鳴る。

瞬間、ゴォという音とともに大爆発が起こった。


「手加減しておいた。
 まだ逆らうというなら、次はケシ炭にするが?」

ロイは冷静にそう言う。
はロイの顔を見上げた。

「ど畜生め・・・・てめぇ何者だ!!」



「ロイ・マスタング、地位は大佐だ。
 そしてもうひとつ、
 『焔の錬金術師』だ、覚えておきたまえ



決まった!!!


そう誰もが思った。
しかし、次の一言で事態は一変する。


「ロイー、かっこいー!」

「そうか?」

にへらっ。

の一言でキリリとした顔は一瞬にして崩れ、ただのダメ男と化したのだ。


「なぁアル?」

「何?兄さん」

「俺、マジ東方司令部が心配になってきた・・・」









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