「そういえば、人質がいるのよね。・・・・アル、私とりあえず人質先になんとかしとくよ。」


「ちょっ!!?あぶな・・・」



パンッパンッ!!



敵の打つ弾をスイスイと身軽に避けながら、男たちの間を滑りぬけていった。
よくもあの高さのヒールを履いて、転ばずに走ったり跳んだりできるものだ。
(動きやすさよりも身長重視らしい)



「さすが・・・・にしてもオジサンたち、僕に向けて打つと兆弾してあぶな・・・」


パンッパンッ!

男たちの打った弾が、アルフォンスの鎧にあたり、跳ね返る。
その弾が、男たちにそのままのスピードで帰ってきた。



「うわぁぁぁ!」

「・・・アホですか。」



LEADY STEADY GO →15『トレイン・パニック*後編』







「バルド!そこに女が隠れていやがった」


「きゃっ!」


男の1人が、の腕を掴んで、ハクロのいる1等車に入ってくる。


「そいつも人質にしておけ。」


バルドはのことなど、よく見もせずに言う。

の身体が、ハクロのいる個室のほうへ押された。


「そこで大人しくしてろ」

「きゃぁっ」


が倒れこむ。
その身体をささえたのはハクロだった。


「大丈夫かね。お嬢さん。」

「ええ。大丈夫です。まあ、そのお耳、いかがなさったんです?」

は心配するように、ハクロの顔近くに顔を寄せる。
それは、たった今まで泣きそうだった少女の顔ではない。
ハクロがはっとして、目を見開いた。


「静かに。ハクロ将軍。私がいるからには、安心です。」


しっ、と人差し指を軽く唇に当てた。


それとほぼ同時に、バシッと練成時特有の音がした。


にゅっ


『あ――――、あ―――――、犯行グループのみなさん
 機関室および後部車両は我々が奪還いたしました。
 残るはこの車両のみとなっております。』


(エドだわ。この声。っていうか、こんな派手なことするのエドくらいよね。)


『おとなしく人質を解放し、投降するならよし、
 さもなくば強制排除させていただきますが・・・』


エドワードの言葉に、バルドと呼ばれたリーダ格の男は怒鳴りつけた。


「ふざけやがって・・・
 何者か知らんが、人質がいる限り我々の敗北は無い!!」

とたんに、その言葉をまってましたとばかりに、エドワードの言葉が演劇がかる。

『あらら、反抗する気満々?
 残念、交渉決裂』

また練成音がして、水道管が練成される。


「?水道管・・・・?」



(・・・ここって、1等室車よね・・?この前の車両って、炭水車
  ・・・まさかっ!!)


『人質のみなさんは物陰に伏せてくださいねー』


は左腕のブレスレットに触れて、個室と通路の仕切りの部分に両手をかざした。


ドッ

ザバ――――


大量の水が、物凄い勢いで車両を駆ける。

しかし個室に、水の入ってくる気配はない。

「・・・これは・・・っ!!」

まるで透明な壁があるかのように、水は個室の前、丁度の手がかざされた部分から外を勢いよく流れていく。


「きみは一体・・」

「私の名前は、


は手をかざしたまま、少しハクロのほうを振り向いてニカッと笑う。



「二つ名は『水空の錬金術師』」

水が勢いを失うと、はかざした手を、ピースサインに変えて、ハクロの前に突き出した。



「覚えといて?」







「ぬう!!」


窓枠に手をかけ、バルドが立ち上がる。


「まだだ!!まだ切り札の人質が・・・」


しかし、目の前に着地したのは、金髪の少年。


「おっ
 機械鎧 ( オートメイル ) 仲間?」


エドワード・エルリック。










「あの人も、もう道はないわね。かわいそうに」

は溜め息をつきながらエドワードの方を見る。


ッ!無事だったんだ・・・というか、濡れてさえいない?」

アルフォンスが駆け寄る。
心配をよそに、はあっけらかんと笑った。

「だって、私、空気と水が得意だしー。いったじゃないのさ。二つ名」

「ああ。なるほど」


「さ。荷物取りに戻りましょ。そろそろ駅だよ」



列車は確実に駅へと向かっていた。


『あの人』の待っている駅へ。









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