「憂鬱だな」


「ええ。そうでしょうね。」


も居ないし。」


「・・・寂しいのですね。」


「さっ!寂しいとかいわないでくれたまえ!中尉!」




LEADY STEADY GO →14『雨の日の東方司令部』






鬱陶しいほどの雨の音が、司令部の厚い窓ガラスを通して聞こえてくる。

本日無能の男、ロイ・マスタングは深く溜め息をついていた。


「あーあ。が帰ってこないかな」

「大佐。いい加減にしてください」

あまりのダメ男ぶりに、大佐のお目付け役であるホークアイ中尉はロイ以上に深い溜め息を付いた。

「ダメだ。中尉。私は欠乏症にかかってしまった。ー!ー!」

「あなたは子供ですか」

にあえるなら子供でもいい」

「バカなこと言わないで下さい。もうすぐ三十路でしょう」

その声は心底あきれている。

「知ってるかー?はこう、小さくってだなー、
 雨の日、自分の仕事が終わるとダボダボのレインコートをきて雨の中であそんでるんだぞ〜
 もー、とてとて歩いている姿は可愛くてだなー」

フフフ、と遠い目をして違う世界に飛び立ちつつ上司を前に、
中尉は一瞬、本気で人材派遣会社に電話しようかと思った。(オー人事?)

「そんな事言っても、はエドワード君たちと一緒に行動してるんでしょう?
 そう簡単には捕まらないと思いますが?」

「・・・む。それはそうだな」

「電話があっただけ、よかったんじゃないんです?
 心配なさってたでしょう?」

「ああ!もう、久しぶりでな!相変わらず可愛いんだ!これがまた!」

「・・・ああ、そうですか」

なんとかして、この上司をきちんとさせられないか。

「・・そういえば、受付のジェシカさんが、夜ご一緒します、と先ほど言伝がありましたが?」

「なに!それは本当か!」

一瞬にして、だらしなく緩みきったロイの顔が、キリリと見目美しい美青年になった。

が悲しみますよ」

「なに、他の女と一緒のときでも、私は一筋さ」

ハハハ、と笑う上司を見て、中尉は本日2度目になる溜め息をついた。

ふと、窓の外を見る。
確かについ最近まで、少女は外で、ぶかぶかのレインコートを着て、可愛らしく雨とじゃれていた。


「・・・早く帰ってきてください。将軍・・・・」

この司令部の仕事を素早く終わらせるためにも。
このダメな上司をしっかりさせるにも。


「・・・あなたが必要です。将軍。」



雨はまだ、降り続いている。




「エドー!雨雨!」

「うっわっ!つめてぇっ!!」

「早くしないと電車でちゃうよ!」


中尉の苦悩が終わるのは、まだ、もうちょっと先。






BACKNEXT










SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送