「もしね、ヨキが入ってきたら、私に任せて欲しいの」

はそういってにっこり笑った。

「私が、ある人に電話かけるから、その人に代わって、ね?」




LEADY STEADY GO →13『権限の有効利用。』








「はーい、皆さん
 シケた顔ならべてごきげんうるわしゅう」

エドワードがものすごい笑顔で言うと、カヤルを始めとした街の人々は至極イヤそうな顔をした。

「・・・何しに来たんだよ」

「あらら
 ここの経営者にむかってその言い草はないんじゃないの?」

わざとらしい表情でエドワードが言うと、逆上した男が怒鳴りつけた。

「てめ何言っ・・・・」


突き出された、一枚の紙。

「・・・・・・これは・・・」

「ここの採掘・運営・販売その他、全商用ルートの権利書」

「なんでおめーがこんな物持って・・・
 あ―――――!!
 名義がエドワード・エルリックって!?」

「「なにぃ!!?」」

「そう!すなわち今現在!
この炭坑はオレの物って事だ!!」


街の人々の表情は、見るからに動揺している。

それもそうだ。昨日まではたしかにヨキの物だったのだから。

人々の反応をよそに、エドワードは話を続けた。

「・・・とは言ったものの、オレたちゃ旅から旅への根無し草」

「権利書なんてジャマになるだけで・・・」



(・・・2人とも、芝居上手いなあ)

は横目で見つつ、店の端の電話をダイヤルした。





「もしもし?大佐?」






―――――東方司令部


「・・・・はい。わかりました。
 ・・・・・大佐。お電話です」

ホークアイ中尉が電話を大佐に渡そうとしていた。

「む、今忙しいのだ。後にしてくれ。」

「・・・・いいんですか?」

「緊急の電話なのか?」

「・・・・いえ・・・からですが」

「もしもし!か!!」

大佐は一瞬にして、その電話を手にとっていた。

『声おおきいよ。大佐!もうっ!鼓膜破れるかと思ったよ』

「すまない。いや、嬉しいんだ。二日続けて連絡なんて、
 は旅に出て以来、かけてきてくれなかったからなぁ」

『うん。ごめんね。ああ、それでね。・・『錬き・・ど』・で・・『せ!?』・だけど『ガッ』かな?』

「・・・・外野の音がうるさくて聞こえないのだが。」

『え、だからね。ユースウェルっていう街のね、ヨキっていう中尉がいるんだけど。
 その人ね、贈賄で地位を買って、さらに不当な税の押収をしてるの。
 だからね、今すぐクビにしてくれないかな』

「しかし、私が実際に見ていないからな。私の権限で首を切るのには少し時間がかかるぞ」

『ううん。いい。私の権限で首きって。
 あ、ちょっとまって。当の本人に代わるから。』





「あ、そうだ中尉」

エドワードが、ボロボロになったヨキに笑顔で話し掛ける。

が今、電話してる相手に代わってみな」

威圧的な笑顔のエドワードに、ヨキはビクビクしながら受話器をとった。


「あー。もしもし?私は東方司令部ユースウェル支部のヨキ中尉だが。
 君は誰だね?」

ヨキは最後まで、顔知らぬ電話の向こうの相手にえらそうに話す。

『東方司令部マスタング大佐、炎の錬金術師だ。』

相手が、大佐とは知らずに。
ヨキの顔色が、見るからに悪くなった。


『今君の眼の前に居る少女は、少将どのだ』

恐る恐る、ヨキはを見た。
はにっこりほほえんだ。


「まあ、権限を思う存分利用させていただきますとクビってことで
 そこんとこよろしくVv」

最終宣告とでも言うべきか。





「よっしゃー!!!」


酒持って来い!
酒――――――!!


とたんに騒ぎ出す町の人々、エドとを囲むように酒を持ち寄った。

「親父・・・エドもも魂までは売っちゃいなかったよ


カヤルは言った。

「ああ・・・そうだな」

それは魂と呼ぶのか、心と呼ぶのかしれないけれど、



大切なことを、彼はちゃんとしっていたから。








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