ぐううううぅぅ〜〜〜〜〜〜〜

月夜に響く、腹の虫。

「はらへった・・・・・・」

ぐぎゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ちくしょ〜〜〜〜アルの奴ぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

エドワードがなさけない声をだした。

すっ

差し出された、一式の食事。

それと、お菓子。


「ボクにだされたの、こっそり持って来た」

「お菓子、貰ったの。あげる。」

ッ!弟よ!!」

「ゲンキンだな。もー」






LEADY STEADY GO →9『腐れ中尉』







「ふーん・・・腐ったおえらいさんってのはどこにでもいるもんだな」

「そうよね〜私のしってる中尉とは大違い!」

「おかげで充分な食料もまわって来ないんだってさ」

「・・・・・・・そっか」

エドワードが静かに相槌を打つ。その顔に、影を落として。

「しかし、そのヨキ中尉とやらのおかげで、こっちはえらい迷惑だよな。
 ただでさえ軍の人間ってのは嫌われてんのに」

そこまで言って、はっとエドワードは口をつぐんでを見る。
はこんな歳格好でも軍の人間だ。
エドワードの意図に気づいたのか、は苦笑しながら、「気にしないで」と小さく首を振った。

「国家錬金術師になるって決めた時から、ある程度の避難は覚悟してたけどよ
 ここまで嫌われちまうってのも・・・」

「・・・それが宿命だから。しょうがないよ。私だって、時には石だってぶつけられるよ。
 だけど、我慢するしかないじゃない。軍は国民の犬ではないけど、国民を守る義務はあるわ」

「・・石・・・」

って、意外に苦労人なんだ?」

「・・まあね。ああ、私そろそろ中にもどってるよ。2人そろってどこかにいってるなんて、
 店の人にあやしまれるからね」

が立ち去ったのを確認して、アルフォンスが言った。

「・・・・・・・・、ボクも国家錬金術師の資格とろうかな」

「やめとけ、やめとけ!
 針のムシロに座るのはオレ一人で充分だ」

エドワードがニカッと笑う。
弟を思っての言葉だった。






「どけどけ!!」

ドカ ドカッ

騒々しい音を立てて、入ってきたのは、噂のヨキ中尉だった。

「相変わらず汚い店だな。ホーリング」

「・・・・これは中尉殿。
 こんなムサ苦しい所へようこそ」

ホーリング・・・店主がイヤミを含めて言う。

「あいさつはいい・・・ほぉ・・・なかなか可愛らしいお嬢さんじゃないか」

の姿をなめ回すように見たヨキが言う。
いやらしい視線を感じたは一歩、後ろに下がった。

「丁重に招待したまえ。お嬢さんこんな埃っぽいところではなんだろう。
 ぜひ私の宿泊施設を使いたまえ」

「なっ何いって!!」

の避難の声を無視して、ヨキは店主のほうへ向きかえった。

「このところ税金を滞納しておるようだな。
 おまえの所に限らず、この街全体に言える事だが・・・」

「すみませんね。どうにも稼ぎが少ないもんで」

「ふん・・・そのくせまだ酒をたしなむだけの生活の余裕はあるのか・・・と言う事は
 給料をもう少し下げてもいいという事か?

「なっ!」

「この・・・!!ふざけんな!!


カヤルの投げた雑巾は、見事にヨキの顔面にヒット。
勇んだのは、当ったヨキではなく、ヨキの部下らしく、後ろに控えていた男だった。

バシィ

カヤルの身体が床に投げ出される。
ヨキの手の甲が、カヤルの頬を打ち付けたのだ。

「カヤル!」

「カヤルくん!何を考えてるんです!こんな小さな子相手に!」

がカヤルを庇うようにカヤルとヨキの間にわりこみ、ヨキをにらみつけた。
いざというときのために、袖の上から左手の練成陣を象ったブレスレットに触れる。

「ふん、女子供だからとて、容赦はせんぞ」

ヨキが左手で合図をすると、先ほど勇んでいた男が、腰の剣に手をかけた。


「みせしめだ」


ヨキの声が言う。
剣が振り下ろされた。



ガキン!


金属が激しく当る音。


「・・エド」


「!?・・・・ええ!?」

剣が音を立てて、真っ二つに折れた。

へなへなとしゃがみこんだを立たせるように、エドはを左手で抱き寄せると、
右手で、銀時計をちらりとヨキに覗かせた。


「あいさつしとこうかなーと」


わざとらしく、そんなこともいいながら。





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