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EADY STEADY GO →7『彼の気持ち。』
いきなりだが、今日の宿が決まった。
「ホコリっぽくてすまねえな。炭坑の給料が少ないんで店と二足のワラジって訳よ」
わはは、とおおらかに笑う。はこんな雰囲気が大好きだった。
遠い幸せな思い出が鮮やかに蘇るから。
「えーと、一泊二食の三人分ね」
「あ、同じ部屋でいいんですけど、宿泊費は別でいいですか?」
「はいよ。じゃあそっちの2人は」
「「一緒で」」
2人が口をそろえて言うと、店主がにやりとわらった。
「高ぇぞ?」
「ご心配なく。けっこう持ってるから」
エドワードが自信ありげに言った。
「20万!」
思わず、エドワードはコケた。
それはもう、思いっきり。
「ぼったくりもいいトコじゃねえかよ!!」
「だからいったろ「高い」って。あ、嬢ちゃんは2万な。」
「わあ。ありがとうございますー」
は首をかしげて微笑んだ。
それは可憐な美少女そのもので、周りにいた男たちは『イイモノを見た』と満足げに を見つめた。
とてもコーネロに廻し蹴りを食らわせた女とは思えない。
「何だその違いはっ!!」
「可愛いからサービスだ!
ま、めったに来ない観光客にはしっかり金を落としてってもらわねえとな」
「冗談じゃない!他あたる!いくぞアル、!」
「え?私も?」
エドワードがアルフォンスとの腕をひいて出て行こうとした。
がし
「逃がすか金ヅル!!」
「あきらめな兄ちゃん。よそも同じ値段だよ」
「・・・・・・・・・足りん・・・」
「え、エド、私が立て替えておこうか・・・?ちょっとくらいなら持ってるし・・」
「ちょっとって?」
「え、
15万?
」
「・・・・・ちょっとかよ。ソレ。
いいや、人から借りるの、あんま好きじゃないんだ
それに中央にもどるまで返せねぇだろうし。」
「そうなの?・・・べつにいいのに。」
「いいって、な」
「うん?」
「なんて。見栄張っちゃって。兄さんったら。」
「こうなったら錬金術でこの石ころを金塊に変えて!」
「金の練成は国家練成法で禁止されてるでしょ!
もう、に借りたら?」
「・・・バレなきゃいいんだよ。バレなきゃ。」
エドが黒く笑う。
「兄さん悪!!」
エドワードとアルフォンスがそんな兄弟漫才を繰り広げているのを尻目に、は、宿に備え付けの電話を、軽くダイアルした。
「もしもし?私。です。マスタング大佐につないでちょうだい。」
『はい、少々お待ちください』
電話交換手が言うと、十数秒で男の声になった。
東方司令部の大佐、ロイ・マスタングその人の。
『か?』
「ひさしぶり。大佐。」
『おっ前は―――っっ!!私に一言も言わずにいなくなって!
私がどれだけっ!どれだけっっ!!』
ロイが声を荒げると、電話の向こうから、『電話はお静かに』という冷静なホークアイ中尉の声が聞こえてきた。
「ごめんなさい!もぅっ!怒らないでよ!
私、今ね、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックと一緒に旅してるの。」
『鋼のとか!?』
「うん。だから心配しないでよ。」
『それは・・・
別の意味で心配なんだが
・・・・』
「へ?」
呟くようなロイの声に、は疑問の声を上げた。
『いや・・・ああ、じゃあ鋼のがこちらにくるとき、一緒にくるのか?』
「うん。しばらくはエドとアルと一緒に居ようとおもってるし」
『・・・そうか。』
「うん」
『』
「なあに?」
『早く帰って来い。お前が居ない家は寂しすぎる。』
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