まるで彼らは、全てを見通したように不敵に微笑むの。

             (







LEADY STEADY GO →4『格の違いを見せてあげる。』






「だぁ――――から、あんたは三流だっつーんだよ
 このハゲ!」

くっくっ、とエドワードは肩を揺らして笑う。
その言葉には、余裕が含まれていて、少年らしい言葉づかいに、重たげな意思が乗っていた。
コーネロは冷や汗をかきながらも、抵抗した。

「小僧!!まだ言うか!!」


「これ、なーんだ♪」

エドワードが満面の、年相応の笑顔でさしだしたもの。

オンの状態の、ラジオのスイッチ。
はその様子を端からみつつ、溜め息をついた。
首をかくん、と前に項垂れると、耳にしている細いチェーンのイヤーカフスが、しゃらり、となった。

「(すっげぇ。無茶だよ。エド)」

自分も似通ったことを考えておきながら、全てを棚に上げて はあきれ返っている。
しかし、その効果はあきらかだったようで、コーネロの顔から、血の気がひいていく。

「まっ・・・」




『まさか・・・
 貴様ぁ――――――――――――ッ!!!』




街中に響く声。
この男の運命も決まった物だ。


「・・・このガキ・・・」

逆切れ。
コーネロは銃のような物を練成しかけたが、スピードは、断然エドのほうが早かった。


バキン


「言っただろ?
 核が違うってよ」


この男がエドワードに勝てるわけもない。
これだけは確実にいえること。

「私は・・・私はあきらめんぞ・・・・・・」

コーネロは、ギッときつく歯を結ぶ。

「この石があるかぎり、何度でも奇跡の業で・・・」


ズッ


「ちっ・・・」

練成をはじめる。エドワードが舌打ちするのとほぼ同時にが身を乗り出した。

「おかしい!」

コーネロの練成していた銃器は、バチッという音とともに、形を変え、コーネロの腕と合体していった。

「・・・っぎゃあああああああああぁぁあぁあああ」

けたたましい悲鳴が上がる。

「う・・・腕っ・・・私の腕が!!」

「な・・・・」

エドワードは呆然とその腕を見つめた。

「なんで・・・いったい・・・」

「ああぁぁぁああぁあああ痛ぁぁ」

コーネロのけたたましい叫びが、建物中に響き渡った。

「う・・・「うっさいっちゅーねん!」

ガッ

エドより先にキレたのはだった。
コーネロの顔面に、のおみ足の回し蹴りが綺麗に決まった。

「ぶあ!!」

「・・・・・・それはムゴイ・・・」

「ただのリバウンドでしょぉっ!!腕の1本や2本でギャーギャー騒ぐんじゃないの!

「ひィィイイイ〜〜〜〜〜」

「だからうるさいってば!リバウンドが怖くて、賢者の石なんて不確定なモノ使うんじゃない!」

コーネロに対して蹴りを入れ続ける

「女帝?」

アルフォンスが小さくつぶやいた。(あながちはずれでもない。)
エドワードは呆然と、その場に立っていて、がコーネロから離れると、ハッとしたようにコーネロに詰め寄った。

「・・・石・・石だ!賢者の石を見せろ!!」

「ひィ・・・いっ・・・石!?」

途端、コーネロの指輪の、賢者の石らしい赤い石に、ピキッとヒビが入る。
ボロ・・とクズのようになり、カラン、と小さな音を立てて床に落ちた。

「壊れ・・・た・・・」

そう呟くエドワードの前で、サラサラと粉になって、石「だったもの」は飛ばされていく。

「ああ、ニセモノだったのね」

はやれやれと言った様子で石(だったもの)があった場所を見つめた。


「どういう事だ!『完全な物質』であるはずの賢者の石がなぜ壊れる!?」

「し、知らん、知らん!!私は何もきいてない!!」

「エド・・何言ってもムダだよ。その男は何も知らないと思う。
 石は確実に偽物」

のやけに冷静な声が響く。


「偽物・・・?」


急に、エドワードの声から覇気がなくなった。

「ここまで来て・・・やっと戻れると思ったのに・・・偽物・・・」

「ちょっ!エド、大丈夫!?」

まるで魂が抜けたかのようにへろへろと座り込むエドワード。
は真っ白になったエドを焦ったように揺すった。

「(くくく・・スキあり!!小僧があの状態でもう1人は小娘
 ・・・この2人だけでもぶち殺す!!)」

コーネロがそんな悪巧みに頭を働かせていると、ゆらり、とエドワードが立ち上がった。

「おい、おっさん、あんたよォ・・・・」

「はいィ!?」

いきなりだったからなのか、それも、悪巧みの最中だったからかは分からないが、コーネロが過剰に反応した。

「街の人間だますわ
 オレ達を殺そうとするわ」

バシバシ、と練成時独特の、電流の走ったような音がした。

「え・・・エド?」

がおそるおそる名前を呼んだ。
エドワードには聞こえていないらしい。

ズズズ、と鈍い破壊音とともに、教会が、まるで地震でも起きたかのように揺れた。

「しかも、さんざ手間かけさせやがって・・そのあげくが『石は偽物でした』だぁ?」

パキ パキパキ

「うわぁ!!」




パキ パキパキ


ドガァッ!!



「ふざけんなよ、コラ!!」

巨大な神像が、ぐら、とコーネロを見下ろす。

「(・・・エドが・・・・・・キレた)」

はサーっと血の気が顔から引いていくのがわかった。
そしてさり気なく、エドワードの後ろに避難した。


「神の鉄槌くらっとけ!!」







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