「おっまえ、変なヤツだな。

唐突にエドワードがそんなことを言うものだから、は怒ったように声を荒げた。

「何よー!変って何!変って!」

「・・だいたい、国家錬金術師っていったら、避けるだろ。普通・・・
 軍の狗だぞ?」

そこには、控えめな遠慮と、大きな悲しみがつまっている。
エドワードは眉を寄せて、伏せ目がちにいった。

「しってるわよ。でも、国家錬金術師の資格をもってるってことは、
 その実力はキ・・大総統に認められたようなものじゃない」

そんなエドの気持ちをしってか知らずか、 はあっけらかんと笑った。

「ま、確かにな。そう考えりゃ、お前頭いいかも」

「でしょ?」

それに、実力のないヤツと一緒に行ったって足手纏いになるだけだわ、とは心の中で呟く。






LEADY STEADY GO →2『教主様の練成反応』






「・・・どう思う?」

「どうもこうも、あの変性反応は錬金術でしょ」

「右に同じー」

アルフォンスの言葉に、も同意する。もちろんエドワードも同じ考えだろう。

「・・・それにしたって、法則が・・・守られてなくない?」

が言う。
2人が返事をする前に、聞き覚えのある少女の声がした。

「3人とも、来ていらしたのですね
 どうです!まさに軌跡の力でしょう
 コーネロ様は太陽神の御子です!」

「・・・うんまあ、巫女ではないでしょうね

は見事に的外れなことをボソリと呟いた。
ロゼを裏切るかのように、エドワードはあくまで冷静だ。

「いや、ありゃーどうみても錬金術だよ
 コーネロってのはペテン野郎だ」

「でも、法則無視してんだよねぇ」

「う―――――――――ん
 それだよな」

「法則?」

2人の会話が、ロゼには分からないようだった。
それはもちろん、一般人には到底理解不能な会話だったのだが。

「一般人に見たら、錬金術ってのは無制限になんでも出せる便利な術だと思われてるけどね
 実際にはきちんと法則があって――――」

アルファンスが言うが、やはりロゼには疑問らしい。

「つまりねー
 質量が1の物からは同じく1の物しか水の性質からは同じく水属性の物しか練成できないってことよ」

が最大限分かりやすく、言ってみる。
エドワードはまどろっこしくなったのか、投げやりに答えた。

「つまり錬金術の基本は『等価交換』!!
 何かを得ようとするなら、それと同等の代価が必要ってことだ」

「その法則を無視してあのおじさんは練成しちゃってんのよねぇ」

首をかしげてが言うと、ロゼはムキになったようにに向かって話した。

「だからいいかげん、奇跡の業を信じたらどうですか!!」

エドワードとアルフォンスは顔を見合わせた。
兄弟にしかわからない、以心伝心。
そしてクルリと笑顔でロゼに話し掛ける。

「おねぇさん、ボク この宗教に興味持っちゃったなぁ!
 ぜひ教主様とお話したいんだけど案内してくれるぅ?」

「まあ!やっと信じてくれたのですね!」

エドワードのあまりのかわりぶりに、はイヤそうに顔をしかめた。

「・・・うっわ。」

「まあまあ。」
アルフォンスがすこし苦笑したように笑った。







「私、一緒にはいかないから」

「「へ?」」

「2人が表で大暴れ(?)してる間に、ちょっと裏から入り込んで色々調べるからネー」

「・・いいのかよ?そんなことして」

「そうだよ。、もし何もなかったりしたら・・・」

「・・・あのねぇ。これだけの大きな組織よ?
 もし万が一教祖が何もしてなくとも、1人や2人、汚職事件を起こしてるやつはいるわ。
 そのときはその資料を持ち出しちゃえばなんてことないの。OK?」

「・・や、そんな簡単に言うけどなぁ・・」

「信用してよ。大丈夫。あなたたちの足はひっぱらない。」

「・・・しゃあねぇな。お前とは会ったばっかりだけど、なんか信用できそうだし」

「そうだね。なら信用できる。」

「・・・アリガト。それじゃ!いってまいりますー」

丁度、ロゼが3人を教会の前までつれてきたところだった。
は2人とはなれて、教会の裏までぐるりと回る。



彼らは危ないかもしれない。
人に優しすぎるから。

はそう、胸の奥でつぶやいた。

ココらへんかな

壁に耳を当てる。空気の乱れからして、近くに人はいないらしい。
は袖の上からブレスレットに触れるとその手をそのまま、内側から鍵のかかっている窓に当てた。


バリバリバリッ!


あっという間に、そこには大きなガラスの扉ができていた。






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